2011.10.6

現在妊娠中です。放射性物質が心配……

 

対馬ルリ子先生に聞く カラダと向き合う

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妊娠しています。出産や育児への放射能の影響は?

 12月に出産を控えています。私の住んでいる地域は、健康には問題ないとされていますが、比較的放射線量が高く、ホットスポットも存在すると言われています。東日本大震災以来、何を飲食していいのか全く分からず、赤ちゃんがきちんと育っているのか不安でなりません。まわりの妊婦さんの反応は、気にする人もいれば、まったく気にしていない人もいて、まちまちです。また、出産後はできれば母乳育児をしたいのですが、母乳から放射性物質が出たという報道もあり、心配です。「今の値の放射性物質なら、母乳育児のほうがメリットがある」とも聞きますが、どう判断したものかわかりません。アドバイスをお願いします。(27歳)

 

「絶対大丈夫」とは言いきれませんが、心配し過ぎずに出産・育児に臨んで

   今回の原発事故については、参考となる前例がチェルノブイリぐらいしかありません。それも多岐にわたって綿密な調査結果があるわけではないので、参考にはできても、それを応用して、日本の現状に当てはめることが難しいところがあります。低濃度で長期にわたる被曝がどういう影響をもつかというと、まだわからないことが多いです。

 ですが、世の中には、放射能汚染のほかにも、もともと、環境汚染やストレス、たばこ、親から受け継いだ遺伝的要因など、多種多様な健康リスクがあります。妊娠、出産にもリスクは必ずあります。そのなかで、放射能汚染がどこに順位付けられるのかははっきりしません。ただ、医師の目から見ると、例えば健康へのリスクはたばこのほうがずっと高くて、明白です。逆に言うと、現在の放射能汚染がはっきりと高リスクにランク付けられるとも言えないのです。今回は事故ということがはっきりしていますから、被害感情があったり、前例のないことに不安を感じるのはわかります。しかしながら、放射能汚染だけをリスクと考え、行動の指針にすることはかえって不自然です。

 元愛育病院院長で、文献を集めて被曝について調べ、当院で「妊娠と放射能被曝相談」に乗ってもらっている堀口貞夫先生にも聞いてみました。

 「現在は、一度大量に飛び散った放射性物質、とくにセシウムが残留している状態。今のところは、新たに放射性物質が飛び散った形跡はありません。3月には母乳に放射性物質が検出されましたが、現在は基準より下回っています。母乳育児できる人は、母乳で育てた方が、ずっとメリットが大きいでしょう。野菜に関しては、現在検査して放射性物質が基準より下回っている畑のものであれば大丈夫です。ただ、近海ものの魚介類については影響がまだわからない点もあります。 (原発で)新しい爆発がなければ、出産・育児で心配することはないでしょう」

 現状では「絶対大丈夫」とは言えませんが、「たぶん大丈夫でしょう」とは言えます。神経質になりすぎてノイローゼになるほうが、デメリットが大きいでしょう。今の汚染レベルなら、そのために妊娠・出産をやめたり、授乳をやめたりする必要はないと思います。土や草むらは放射性物質が付着しやすいものですが、一日中土いじりや草むしりをするほどでなければ、心配はありません。正しい情報を随時集めつつ、安心してお産に臨んでください。

 

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