グローバルビジネスの最先端・中国で、2000人の部下を指揮した経験を持つ佐々木順子さん。経済成長を続ける中国から日本を見たときに大きな危機感を感じたと言う。「あらゆる国籍や文化など多様な背景を持つメンバーをまとめるグローバル・リーダーが、中国の若い世代に続々と現れている。日本にも増やさなくては」。その思いで、次世代のグローバル・リーダーを目指す若者と積極的にネットワークを築く佐々木さん。数々の経験から得た「リーダー論」をうかがった。(聞き手:ライター・小林亮子)
初めてのマネージャー、大きな挫折に
──日本IBMで執行役員を務められ、今年、マイクロソフト社に執行役として入社されました。カルチャーの違いはありましたか?

大学卒業後に26年間つとめたIBMでも、仕事の内容や部署は次々と変わりました。新しいチームを立ち上げたり、すでに出来上がっている部署に責任者として落下傘的に配属されたり。IBMは大きな会社ですから、それぞれの組織でそれぞれの文化を経験しました。ですから、文化の違いにストレスを感じることはありませんでした。
マイクロソフトも同じ外資系企業だからでしょう、人事評価制度など共通するところもありますし。中途採用の社員が全体の8割を占めていて、受け入れ体制も整っているように思います。社員の平均年齢は38.6歳と若く、社内の雰囲気はカジュアルで、普段は私もジーンズで出社しています。
──現在のお仕事の内容は?
現在の仕事の内容は、「カスタマーサービスアンドサポート」の責任者として、マイクロソフトの持つ技術とお客様の間に立ち、企業ミッションでもある「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を、最大限に引き出すための支援をすること」の実現を目指しています。具体的には、アメリカ本社とコミュニケーションをとりながら、法人、個人のお客様に対して、マイクロソフトのすべての製品、ハードウエア、ソフトウエア、サーバソフトウエアを快適にご使用いただくための技術サポートを行っています。
──技術系のお仕事ですか。キャリアのスタートはシステムエンジニア(SE)だそうですが、その経験が今も役立っていますか?
ITの基本的な知識を得られたことはもちろんですが、技術者の仕事のやり方や得意・不得意なことを知ることができました。現在も、サポートや問題解決に携わる技術者のチームメンバーたちのことを理解するうえで、大いに役立っていると思います。私自身は、SEになって4、5年目には、すでに技術者としては限界を感じていました。コンピューターよりも人が好きで、お客様とコミュニケーションして得られたニーズとSEたちの開発する技術との間に立って、「橋渡し役」をすることに楽しさややりがいを感じました。これはプロジェクトリーダー、あるいはマネージャー的な役割なのですが、それを任せていただくことが増え、35才で実際にマネージャーに昇進しました。以後、一貫して、お客様と直接接するサービスビジネスに携わっており、それは現在担当するセクションも同様です。
ただし、その道のりは決して順調だったわけではありません。同期の中でもマネージャーへの昇進は早いほうでしたが、最初にマネージャーになった時は、チームメンバーから信任が得られず、成果も上がりませんでした。女性は感情的とか非論理的と言われがちなため、論理的・合理的であろうとしたのですが、そこに無理があったのでしょう。私はなす術もなく、マネージャーを降りることになりました。大きな挫折です。そのまま30代は、SEとして中途半端な自分にコンプレックスを持ちつつ、小さな仕事をいろいろとやりながら過ぎていきました。

佐々木順子(ささき・じゅんこ)さん
執行役 カスタマーサービス&サポートゼネラルマネジャー マイクロソフト株式会社
1983年4月、日本IBM株式会社にシステム・エンジニアとして入社、銀行第三次オンラインシステムの開発を担当。 以来、システム開発、インフラ構築サービス、アウトソーシング、製品技術支援など、一貫してサービスビジネスに従事。 2007年10月より中国上海に赴任、日本のお客様向けのグローバルデリバリーを推進。 2010年、日本IBM株式会社退社。2011年1月、マイクロソフト株式会社 執行役 カスタマーサービス&サポート担当就任。7月より現職。「J-Win エグゼクティブ・ネットワーク」幹事メンバーの1人。

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